人類は、長い歴史の中で、自らの居住空間をより快適なものへと変革しようと試みてきた。その過程で、様々な素材、様々な形態の人工物が創造されてきたが、ここに紹介する**麻の葉模様ラグ「Asanoha」**は、単なる敷物という既存の概念を超越した、ある種の「空間調整装置」と呼べるかもしれない。 その外観は、古くから日本列島に伝わる幾何学模様、「麻の葉」を模している。しかし、これは単なる意匠ではない。この模様が持つ、あるいは過去の時代から継承されてきたであろう、何らかの「情報」が、このラグに集約されている可能性を否定できない。サイズは45×75cm。極めて普遍的なこの寸法が、かえってその秘められた可能性を示唆しているかのようだ。 この物質の構成要素にも注目すべき点がある。縁取りと線の部分には、植物繊維である**麻(黄麻)**が用いられている。地球の土壌から生み出された、原始的ながらも強靭な素材だ。対して、麻の葉の面の部分には、動物の毛である**ウール**が配されている。こちらは、生命の温もりと複雑な構造を内包している。異なる起源を持つ二つの素材が、このラグの上で共存し、相互作用することで、我々の認識し得ないレベルでの「場の安定」を生み出しているのではないか。 これを配置した空間は、不可思議なほどに「落ち着き」を見せ始める。和風、洋風、といった既成の分類が、このラグの存在によって曖昧になり、あるいは超越される。まるで、その空間そのものが、このラグを媒介として、異なる位相へとシフトしたかのようだ。これは単なる偶然か、それとも、我々の理解をはるかに超えた、何らかの法則がそこに作用しているのか。 **麻の葉模様ラグ「Asanoha」**。これは、あなたの足元に敷かれることで、単なる快適さを提供するだけでなく、あなた自身が認識している空間のあり方、ひいては世界の認識に、微かな、しかし決定的な問いを投げかけることになるだろう。この小さな物質が、我々の未来の居住環境、あるいは文明のあり方について、新たな示唆を与える可能性も、ゼロではないのだ。
1枚1枚手作業でつくっている、やさしいマットたちです